聖書:ルカによる福音書17章11~17節

11 イエスはエルサレムへ行かれるとき、サマリヤとガリラヤとの間を通られた。
12 そして、ある村にはいられると、十人のらい病人に出会われたが、彼らは遠くの方で立ちとどまり、
13 声を張りあげて、「イエスさま、わたしたちをあわれんでください」と言った。
14 イエスは彼らをごらんになって、「祭司たちのところに行って、からだを見せなさい」と言われた。そして、行く途中で彼らはきよめられた。
15 そのうちのひとりは、自分がいやされたことを知り、大声で神をほめたたえながら帰ってきて、
16 イエスの足もとにひれ伏して感謝した。これはサマリヤ人であった。
17 イエスは彼にむかって言われた、「きよめられたのは、十人ではなかったか。ほかの九人は、どこにいるのか。

金 言 
神をほめたたえるために帰ってきたものは、この他国人のほかにはいないのか。      
           
1.イエスに憐れみを求める十人
 イエスさまはエルサレムへの旅の途中である村に入られます。そこでイエスさまは重い皮膚病を患った十人の人々に出会います。彼らはイエスさまを遠くから見つけると、このお方なら自分たちを何とかしてくれるかもしれないと思い、その場に立ち止まりあらん限りの大声を張り上げました。「イエスさま、わたしたちをあわれんでください。」なぜなら彼らはイエスさまに駆け寄って近づくことが許されていなかったからです。ユダヤの社会には、重い皮膚病に罹った人は健康な人に近づいてはならないという決まりごとがありました。もし誰かが接近したときは必ず自らが「私は汚れた者です。汚れた者です」と叫ばなければなりませんでした(レビ13:45-46)。イエスさまは病の癒しを激しく叫び求める彼らをご覧になって深く憐れみを持たれました。イエスさまは「祭司のところに行って、からだを見せなさい」と言われました。当時は重い皮膚病に罹った人は人々と離れて生活しなければなりませんでした。その人が回復の見込みがある場合にはまず祭司のところに清められたことを証明してもらい、その後はじめて共同体に戻ることが許されました。
2.イエスのもとに帰ってきた一人
 十人の重い皮膚病を患った者はその場ではまだ癒されてはいませんでしたが、半信半疑ながらもとにかくイエスさまの言葉に従って祭司のところに向かいます。ところが驚くことに行く道すがらで、十人全員は重い皮膚病が癒されてきよめられました。彼らはお互いの身体がきよめられたことを奇蹟の出来事として歓喜に溢れて喜びあったに違いありません。十人はこの病気のゆえに今まで不当に差別をされ、血縁関係や地域社会からは存在が抹殺され、生きていても死に体同然であった人生でした。病が癒されたことで十人中のたった一人を除いて他の九人はさっそく共同体や家族のもとに一目散に帰りました。一人だけは病が癒されたことを知ると、まず大声で神様を賛美しながら来た道を踵返してイエスさまのところに戻りました。彼は誰よりも先にイエスさまに最高の感謝の気持ちを伝えたかったのです。それでイエスさまの足もとにひれ伏して感謝を表しました。
3.神をほめたたえ感謝する
 癒された人はユダヤ人から差別を受けていたサマリヤ人でした。他の九人はユダヤ人です。ユダヤ人であるイエスさまが自分をも顧みてくださったことの感動が神様への賛美とイエスさまに対する感謝を呼び覚ましたのです。病気が治るかもしれないという信仰は十人全員が持っていましたが、「あなたの信仰があなたを救った」(19)のです。イエスによって病気とたましいの救済がなされると信じたのは、神様を賛美しながら感謝をするために戻ってきたサマリヤ人の他にはいませんでした。九人のユダヤ人は重い皮膚病が癒されて、ユダヤ人社会に復帰して元通りの生活に戻っただけでした。しかしこのサマリヤ人はイエスさまの元にきて、救いを受け取り新しい人生を始めました。
あなたにとってイエスさまは地上の生活で自分の願いをかなえてくれるだけの存在ですか、それとも十字架によってあなたを罪と滅びから救い、三日後に復活されたことであなたにまことのいのちを与え、今は天においてあなたが祈る祈りに応え、あなたが聖書に従うときあなたの将来を最高の人生に変え、永遠に生きる道を備えられた神の子であると信じて、そのお方をいつもあがめて何事でも感謝をささげていますか。