聖 書  ヨハネによる福音書16章12~15節
16:12 わたしには、あなたがたに言うべきことがまだ多くあるが、あなたがたは今はそれに堪えられない。
16:13 けれども真理の御霊が来る時には、あなたがたをあらゆる真理に導いてくれるであろう。それは自分から語るのではなく、その聞くところを語り、きたるべき事をあなたがたに知らせるであろう。
16:14 御霊はわたしに栄光を得させるであろう。わたしのものを受けて、それをあなたがたに知らせるからである。16:15 父がお持ちになっているものはみな、わたしのものである。御霊はわたしのものを受けて、それをあなたがたに知らせるのだと、わたしが言ったのは、そのためである。

金  言
けれども真理の御霊が来る時には、あなたがたをあらゆる真理に導いてくれるであろう。(ヨハネ16:13)

「命綱」という言葉があります。文字通り命をつなぎとめるロープです。船や高い所などで作業をする場合に、誤って落ちないようにつないでおく綱ですが、それが派生して、その人にとって命をつなぐほどに大切なものを「命綱」と言います。聖霊は私たちと天におられる神様やイエス・キリストとつながる命綱の役割をされています。

1.聖霊があなたの心に住んでいることを信じる(12~13節)
今日の箇所は十字架前夜、つまりイエスが弟子たちと過ごす最後の晩です。イエスは最愛の弟子たちに向かって辛い別れを述べながらも、自分が去っていくことはむしろあなたがたの益になると力づけています(7)。そう語りながらもイエスには自分が去った時、弟子たちが受ける計り知れない衝撃と動揺と恐怖心が出来ました。今、弟子たちはイエスが去ることで大きな損失を受けとめなくてはなりませんが、やがてイエスが肉体を持って臨在した時よりもっと大きな恵みで補われるのです。イエスの代わりに来られる方は、永遠に信仰者の内にとどまって、彼らのうちに住むのです。この内住の御霊は「信仰によって」認められなければなりません。

私たちは自宅にお客様を招くとき、取り急ぎ客人が過ごす客間だけは掃除します。家の中には客人に見せたくない不要な物が散乱する部屋もあります。同様に私たちの「心の部屋」はきれいに片付いたクリスチャンらしいところもありますが、神のご支配を拒否する古い自分が占拠する心の部屋があります。そういう部屋は聖霊には見せられないし入ってほしくはないものです。しかし聖霊は訪問してすぐ帰る客人ではありません。私のうちにずっと住まわれる我が家の新しい主人となられた方です。私たちは神にすべてを明け渡す覚悟で、汚れた思いや悪い心を十字架によって葬り、聖霊が私の心の部屋のどの領域に入られてもいごこちによいと感じる住まいにしなければなりません。

2.聖霊があなたとキリストを結ぶ愛の絆となった(14~15節)
私たちのまことのいのちは内住の御霊がおられるゆえに天と結ばれています。私たちがもし天とつながった命綱である聖霊を内に宿していなければ、私たちのいのちは悪と滅びの中にどこまでも引きずり込まれてしまいます。けれどもあなたが天とつながれたいのちの絆なる聖霊をお迎えするとき、助け主である真理の御霊はすべてを導いてくれます。その方は真理の御霊(13)です。御霊は新たな真理を示すのではありません。「それは自分から語るのではなく、その聞くところを語り」(13)とあるように、イエスご自身が地上で語られたことや行われたことを、御霊は私たちにわかるように教えてくださいます。私たちにイエスの出来事を反芻させるのです。また「きたるべき事をあなたがたに知らせるであろう。」(13)とは、弟子たちにとってこれから迎える十字架と復活の大切な意義をわからせて下さるのです。イエスは「御霊はわたしに栄光を得させるであろう。わたしのものを受けて、それをあなたがたに知らせるからである。」(14)と弟子たちに語られました。イエスのすべては内住の聖霊の教導があるから理解できるのです。

3.聖霊がささやかれるみこえをあなたは聴く(13節)
私たちは幼な子が親にすがるように、聖霊により頼みつつその働きを待つのです。初め聖霊の導きは弱く、ひそかであって、それが聖霊からきたものであるか確信が持てないかもしれません。一般的に世の声は常識的で広くて安全な道だと誘う声です。それに比べて聖霊のみこえは良心のささやきとか聞きなれた聖句のひびきにすぎないと思われるかもしれません。このようなときにこそ、私たちは信仰を持ってそれが主の約束としっかりとらえ、聖霊が内にいまして導いて下さることを信じるべきです。イザヤ30: 21に『また、あなたが右に行き、あるいは左に行く時、そのうしろで「これは道だ、これに歩め」と言う言葉を耳に聞く。』とあります。どんなときも私たちの全存在をそのご支配と統率にゆだねて歩むことで、みこえに最も近いと思われるささやきに忠実であることができます。そうゆう信仰と忠実さによって私たちのたましいは、さらによく聖霊のみこえを聴こう知ろうと備えられます。

【今日の祈り】
 神様、御子イエスが天に帰られたのと交代に聖霊が下られて私たちの内に住まわれることを感謝します。聖霊は私たちとイエスさまをつなぐいのちの綱であり愛の絆です。どうか私たちは聖霊がささやかれるみこえに忠実に歩むことができますように、父なる神がその御子を通して与えてくださる唯一の賜物は、私たちの内に住んでおられる御霊であることを信じる信仰を、さらに養い育てることができますように。御名によって祈ります。