聖　書　ルカによる福音書１５章１１～２４節
15:11 また言われた、「ある人に、ふたりのむすこがあった。
15:12 ところが、弟が父親に言った、『父よ、あなたの財産のうちでわたしがいただく分をください』。そこで、父はその身代をふたりに分けてやった。
15:13 それから幾日もたたないうちに、弟は自分のものを全部とりまとめて遠い所へ行き、そこで放蕩に身を持ちくずして財産を使い果した。
15:14 何もかも浪費してしまったのち、その地方にひどいききんがあったので、彼は食べることにも窮しはじめた。 15:15 そこで、その地方のある住民のところに行って身を寄せたところが、その人は彼を畑にやって豚を飼わせた。 15:16 彼は、豚の食べるいなご豆で腹を満たしたいと思うほどであったが、何もくれる人はなかった。
15:17 そこで彼は本心に立ちかえって言った、『父のところには食物のあり余っている雇人が大ぜいいるのに、わたしはここで飢えて死のうとしている。
15:18 立って、父のところへ帰って、こう言おう、父よ、わたしは天に対しても、あなたにむかっても、罪を犯しました。
15:19 もう、あなたのむすこと呼ばれる資格はありません。どうぞ、雇人のひとり同様にしてください』。
15:20 そこで立って、父のところへ出かけた。まだ遠く離れていたのに、父は彼をみとめ、哀れに思って走り寄り、その首をだいて接吻した。
15:21 むすこは父に言った、『父よ、わたしは天に対しても、あなたにむかっても、罪を犯しました。もうあなたのむすこと呼ばれる資格はありません』。
15:22 しかし父は僕たちに言いつけた、『さあ、早く、最上の着物を出してきてこの子に着せ、指輪を手にはめ、はきものを足にはかせなさい。
15:23 また、肥えた子牛を引いてきてほふりなさい。食べて楽しもうではないか。
15:24 このむすこが死んでいたのに生き返り、いなくなっていたのに見つかったのだから』。それから祝宴がはじまった。

金 言
「そこで立って、父のところへ出かけた。まだ遠く離れていたのに、父は彼をみとめ、哀れに思って走り寄り、その首をだいて接吻した。」（ルカ１５：２０）

今日はオープンチャーチ礼拝を迎えた。案内チラシに私の過去の事を記した。私がどのように神様に導かれてきたのかも織り交ぜながら話をしたい。

１．３つのたとえ話
　イエス様はルカ福音書１５章でパリサイ人・律法学者に対して３つのたとえ話をされた。一つ目は失われた一匹の子羊の話である。二つ目はなくした一枚の銀貨の話である。三つ目は失われた一人の息子・放蕩息子の話である。１５章の始まりから見ていくと、パリサイ人・律法学者たちが取税人・罪人たちを裁く所から始まる。彼らは。自分たちは正しい人間である。神様に相応しい者であると主張している。取税人・罪人たちは正しくない人間である。神様に相応しくない者であると言う。イエス様はこの３つのたとえ話から神様が求めておられる人、探しておられる人がどのような人であるかを語られている。

２．放蕩息子のたとえ話
　イエス様が語られたたとえ話でも最も有名なものである。父親の元に二人の息子がいた。弟は自分勝手で、兄は父親に良く従っていた。弟はこともあろうに父親が生きているのに財産分けをしてほしいと言った。そのお金を手にすると遠くの町で好き勝手な生活を始めた。やがてお金がなくなってしまって、働こうとした。ひどいききんが起こって働き口はなかった。ユダヤ人が忌み嫌う豚を飼う仕事しかなかった。惨めな自分に気付いた弟は本心に立ち返って父親の元に帰ろうとした。息子と呼ばれる資格はないと弟は思っていたが父親は心から迎えてくれた。これはたとえ話であって、父親は神様、弟は罪人である私たちを指している。

３．私自身にあてはめるなら
　私はクリスチャンホームに生まれて思春期までは神様を素直に信じていた。中学生頃から、自分にとって神様とは何かと考え始めた。神様など自分には必要ないと思った。一旦は神様から離れたが、学生時代に教会に戻ってきた。まだ神様を信じるという決心が付かなかった。その頃に特伝で放蕩息子の話を聞いた。子ども時代から何度となく聞いてきた話である。自分には何の関係もないという態度でいた。突然、父親の元から離れて好き勝手な生活をした弟が自分そのものであることに気付いた。神様の前に初めて悔い改めの祈りをささげた。神様によって赦されたと言う解放感、自由にされたという喜びをいただいた。神様は何度裏切っても、私を愛し続けてくださった。待ち続けておられた。人間の心、愛では考えられない。神様の無限の愛を知って、私もこの方に応えて生きていきたいと願った。

　このたとえ話は第一義的には自分たちは神様に相応しいと思っていたパリサイ人、律法学者に語られている。表面的には真面目で一生懸命であっても、自分は罪人であると、本心から悔い改めていなければ外側の事など無意味である。一見、神様に相応しくないと思われたとしても、自分を知って神様の前にひざまずく人を神様は喜んで受け止めてくださる。私たちの帰るべき場所は父親、神様の元にある。