聖  書:ダニエル9章1-19節

(1)ユダの王エホヤキムの治世の第三年にバビロンの王ネブカデネザルはエルサレムにきて、これを攻め囲んだ。
(2)主はユダの王エホヤキムと、神の宮の器具の一部とを、彼の手にわたされたので、彼はこれをシナルの地の自分の神の宮に携えゆき、その器具を自分の神の蔵に納めた。
(3)時に王は宦官の長アシペナズに、イスラエルの人々の中から、王の血統の者と、貴族たる者数人とを、連れて来るように命じた。
(4)すなわち身に傷がなく、容姿が美しく、すべての知恵にさとく、知識があって、思慮深く、王の宮に仕えるに足る若者を連れてこさせ、これにカルデヤびとの文学と言語とを学ばせようとした。
(5)そして王は王の食べる食物と、王の飲む酒の中から、日々の分を彼らに与えて、三年のあいだ彼らを養い育て、その後、彼らをして王の前に、はべらせようとした。
(6)彼らのうちに、ユダの部族のダニエル、ハナニヤ、ミシャエル、アザリヤがあった。
(7)宦官の長は彼らに名を与えて、ダニエルをベルテシャザルと名づけ、ハナニヤをシャデラクと名づけ、ミシャエルをメシャクと名づけ、アザリヤをアベデネゴと名づけた。
(8)ダニエルは王の食物と、王の飲む酒とをもって、自分を汚すまいと、心に思い定めたので、自分を汚させることのないように、宦官の長に求めた。
(9)神はダニエルをして、宦官の長の前に、恵みとあわれみとを得させられたので、
(10)宦官の長はダニエルに言った、「わが主なる王は、あなたがたの食べ物と、飲み物とを定められたので、わたしはあなたがたの健康の状態が、同年輩の若者たちよりも悪いと、王が見られることを恐れるのです。そうすればあなたがたのために、わたしのこうべが、王の前に危くなるでしょう」。
(11)そこでダニエルは宦官の長がダニエル、ハナニヤ、ミシャエルおよびアザリヤの上に立てた家令に言った、
(12)「どうぞ、しもべらを十日の間ためしてください。わたしたちにただ野菜を与えて食べさせ、水を飲ませ、
(13)そしてわたしたちの顔色と、王の食物を食べる若者の顔色とをくらべて見て、あなたの見るところにしたがって、しもべらを扱ってください」。
(14)家令はこの事について彼らの言うところを聞きいれ、十日の間、彼らをためした。
(15)十日の終りになってみると、彼らの顔色は王の食物を食べたすべての若者よりも美しく、また肉も肥え太っていた。
(16)それで家令は彼らの食物と、彼らの飲むべき酒とを除いて、彼らに野菜を与えた。
(17)この四人の者には、神は知識を与え、すべての文学と知恵にさとい者とされた。ダニエルはまたすべての幻と夢とを理解した。
(18)さて、王が命じたところの若者を召し入れるまでの日数が過ぎたので、宦官の町は彼らをネブカデネザルの前に連れていった。
(19)王が彼らと語ってみると、彼らすべての中にはダニエル、ハナニヤ、ミシャエル、アザリヤにならぶ者がなかったので、彼らは王の前にはべることとなった。

南ユダは滅びるまでバビロンから三回の攻撃を受けましたが、ダニエルは最初の攻撃の時、捕虜になりました。彼は優秀な貴族だったので、殺されることなく、バビロンに連れ去られました(ダニエル1:1-7)。若い青年の心に消えない傷が残りました。しかし、それでも彼は信仰の人でしたので、様々な逆境を乗り越え、異邦の国で有名な政治家になりました。それに加えて、すべての幻と夢を理解できる神の預言者としての働きもしました。彼はエレミヤ書から神のご計画を悟ってイスラエルの回復のために祈りましたが、神は答えとして将来の新たな預言を与えて下さいました。

I。祈り始めた理由(2節)

彼は神の深い御心を悟りました。エレミヤの預言によりますと、エルサレムの荒廃が70年で終わることを悟りました(2節)。ダニエルに希望が与えられました。過去を回復できる、エルサレムの町と神殿が再建できる、エルサレムに戻れる、滅びた国が再建できる希望が与えられました。その理由で彼は命をかけて断食をしながら、祈り続けることを決心しました(3節)。

Ⅱ。祈りの内容(3-19節)

(1)悔い改めの祈り(3-15節) ダニエルは先祖の罪、王たちや指導者たちの罪、家族や民族の罪のために悔い改めました。注目すべきことはダニエル個人の罪よりは家族、先祖、民族、国家など集団の罪を彼が代わりに悔い改めたことです。ところで、先祖の過ちをなぜダニエルが背負わなければなりませんか。神様はもともと先祖の罪を子孫に転嫁なさるお方ではありません(エゼキエル書18:2-4参照)。それなのにダニエルが代わりに悔い改めているのは、彼が神様によって選ばれた義人だからです。 (2)回復の祈り(16-19節) ダニエルはエルサレム町の回復(16、18節)、エルサレム神殿の回復(17節)、神の民の回復(16節)、神の聖なる御名とご栄光の回復のために祈りました(19節)。つまり過去への回復を期待しながら祈りました。ところで、神はダニエルの祈りに今までの次元とは違う新たな約束で答えて下さいました。

Ⅲ。神の答え(20-27節)

神がダニエルに天使を通して答えを与えて下さいました。ダニエルが祈り始めた頃、天使が神の答えを持ってきました。ダニエルは過去の回復を願い、神殿の再建、エルサレムの再建、神のご栄光の回復などを祈りましたが、神がダニエルに約束されたものはメシヤのことでした。過去のイスラエルへの回復ではなく、新たな神の御国の時代でした。歴史を支配なさる神は過去へ戻ることはなさいません。過去は戻っても結局不完全だからです。人間が考えられる過去への逆戻りではなく、人間が想像できない未来を展開なさいます。 それでは、私たちが準備しなければならない未来とは何でしょうか。そのために現在、私たちが祈らなければならないものは何でしょうか。