テサロニケ第一5:12-24 聖書各巻緒論52・パウロ書簡8
5:12 兄弟たち、あなたがたにお願いします。あなたがたの間で労苦し、主にあってあなたがたを指導し、訓戒している人たちを重んじ、
5:13 その働きのゆえに、愛をもって、この上ない尊敬を払いなさい。また、お互いに平和を保ちなさい。
5:14 兄弟たち、あなたがたに勧めます。怠惰な者を諭し、小心な者を励まし、弱い者の世話をし、すべての人に対して寛容でありなさい。
5:15 だれも、悪に対して悪を返さないように気をつけ、互いの間で、またすべての人に対して、いつも善を行うように努めなさい。
5:16 いつも喜んでいなさい。
5:17 絶えず祈りなさい。
5:18 すべてのことにおいて感謝しなさい。これが、キリスト・イエスにあって神があなたがたに望んでおられることです。
5:19 御霊を消してはいけません。
5:20 預言を軽んじてはいけません。
5:21 ただし、すべてを吟味し、良いものはしっかり保ちなさい。
5:22 あらゆる形の悪から離れなさい。
5:23 平和の神ご自身が、あなたがたを完全に聖なるものとしてくださいますように。あなたがたの霊、たましい、からだのすべてが、私たちの主イエス・キリストの来臨のときに、責められるところのないものとして保たれていますように。
5:24 あなたがたを召された方は真実ですから、そのようにしてくださいます。
初代教会の中でテサロニケ教会は余り目立たないだろう。テサロニケは歴史のある町で、現在はギリシャでアテネに次ぐ2番目の町、マケドニアの中心地である。テサロニケへの最初の伝道は使徒の働き17章、パウロのピリピ伝道とアテネ伝道の間になる。ユダヤ人もギリシャ人もイエス様を信じる者が起こされたが、伝統的なユダヤ人に反対され、移らざるを得なかった。伝道はわずか3週間だったが、教会の基礎はこの間にできた。
Ⅰ.テサロニケ教会の実り
パウロ一行の滞在はわずか3週間だった。神様はこの地を選ばれており「あなたがたが神に選ばれている」(1:4)、特別な働きを進められた「私たちの福音は、ことばだけでなく、力と聖霊と強い確信を伴って、あなたがたの間に届いた」(1:5)。神様に立ち返り、イエス様を信じて救いに与る者が起こった「多くの苦難の中で、聖霊による喜びをもってみことばを受け入れ、私たちに、そして主に倣う者になりました。」(1:6)。聖霊の光、みことばの力が大いに働いた。彼らの信仰は地方全体の模範になった「その結果、あなたがたは、マケドニアとアカイアにいるすべての信者の模範になったのです。」(1:7)。何と素晴らしい働きがテサロニケでなされたかと神様をほめたたえる。
Ⅱ.テサロニケ教会への心配り
テサロニケ教会は良い実を結んでいたが、全てがうまく運んでいたのではない。外部からの揺さぶりがあった。パウロの伝道でも「激しい苦闘のうちにも神の福音をあなたがたに語りました。」(2:2)とある。パウロの苦闘とは偶像礼拝(1:9)、ユダヤ人による迫害(2:14)であった。以後も、テサロニケの信徒たちを苦しめていた「苦難の中にあって」(3:3)。パウロは群れを心配し、テモテを遣わし(3:2)、2通の手紙を書いて励ました。
内部からは教えの点で揺らぎがあった。「眠っている人たちについては、…望みのない他の人々のように悲しまないためです。」(4:13)とある。イエス様を信じていても死んでしまえばお終いだと考えていた。4章はその後にイエス様の再臨と携挙のことが出てくる。再臨の際にイエス様を信じた全ての人たちの復活が起こる、そこに希望がある。
Ⅲ.テサロニケ教会への勧め
4章後半から5章は終末の話が続いていく。私たちが再臨を意識すれば、慎み深く、主の光に照らされる歩みとなる。今日開かれた5章後半の箇所は道徳的な教えが記されている。それは、終末に備えて実践的な生活が必要だからである。指導者を神様に立てられている器として扱うこと、怠惰・小心・弱い者を顧みること、悪ではなく善を心がけ、喜び、祈り、感謝を大切にすることが述べられている(12~18節)。単なる道徳の教えを超えているのは、「キリスト・イエスにあって」内住のキリストにより、心の内に働かれる「御霊」により、御言を説き明かす「預言」が私たちを正しく導くからである。
異文化、異教と戦いつつ、信仰の模範となったテサロニケ教会は私たちが目指す姿である。主の日を待ち望みながら真実に歩む信仰の基本を教えられる。