聖　書　エペソ人への手紙４章７～１６節
4:7 しかし、キリストから賜わる賜物のはかりに従って、わたしたちひとりびとりに、恵みが与えられている。
4:8 そこで、こう言われている、
「彼は高いところに上った時、
とりこを捕えて引き行き、
人々に賜物を分け与えた」。
4:9 さて「上った」と言う以上、また地下の低い底にも降りてこられたわけではないか。
4:10 降りてこられた者自身は、同時に、あらゆるものに満ちるために、もろもろの天の上にまで上られたかたなのである。
4:11 そして彼は、ある人を使徒とし、ある人を預言者とし、ある人を伝道者とし、ある人を牧師、教師として、お立てになった。
4:12 それは、聖徒たちをととのえて奉仕のわざをさせ、キリストのからだを建てさせ、
4:13 わたしたちすべての者が、神の子を信じる信仰の一致と彼を知る知識の一致とに到達し、全き人となり、ついに、キリストの満ちみちた徳の高さにまで至るためである。
4:14 こうして、わたしたちはもはや子供ではないので、だまし惑わす策略により、人々の悪巧みによって起る様々な教の風に吹きまわされたり、もてあそばれたりすることがなく、
4:15 愛にあって真理を語り、あらゆる点において成長し、かしらなるキリストに達するのである。
4:16 また、キリストを基として、全身はすべての節々の助けにより、しっかりと組み合わされ結び合わされ、それぞれの部分は分に応じて働き、からだを成長させ、愛のうちに育てられていくのである。

聖書は「聖霊の賜物」に関して２種類の譬話をしています。一つは「ミナの譬話」（ルカ１９：１１～２７)、二つは「タラントの譬話」（マタイ２５：１４～３０）です。前者の王は一人１ミナずつ与えました。後の主人は各自の能力に応じて１タラント、２タラント、５タラントを与えました。前者はキリスト者に平等に与えられている「聖霊ご自身」を指し、後者は「聖霊の賜物」を指していると考えられます。今回は後者に関する話です。

Ⅰ．聖霊の三種類の賜物
　第二コリント１２章４節から６節において「霊の賜物、務めの賜物、働きの賜物」と言うように三種類の御霊の賜物について記しています。
　１．霊の賜物　（カリスマトン）
参照：Ⅰコリント１２：４，ローマ１２：６～８
この賜物は「霊的な気質」を意味していて「動機の賜物」と言うことができます。基本的には生まれ持ったお互いの性質･性格と連動しているとも言えます。その内容は、①預言　②奉仕　③教える　④勧める　⑤寄附　⑥指導　⑦慈善などがあります。
　２．務めの賜物　（ディアコニア）
参照：Ⅰコリント１２：５，エペソ４：１１
この賜物は「務め」を意味していて「職務の賜物」と言えます。その内容は、①使徒　②預言者　③伝道者　④牧師　⑤教師などがあります。
　３．働きの賜物　（エネルゲマトン）
参照：Ⅰコリント１２：６～１１
この賜物は「働き」を意味していて「力の賜物」と言えます。その内容は、①知惠の言葉　②知識の言葉　③信仰　④いやし　⑤力あるわざ　⑥預言　⑦霊を見分ける力　⑧種々の異言　⑨異言を解く力などがあります。Ⅰコリント１２：２８には「力あるわざを行う者、いやしの賜物を持つ者、補助者、管理者、異言を語る者」と記されています。

Ⅱ．教会を建て上げる
　神が私たちにそれぞれの賜物を与えておられる目的は、「健全な教会を建て上げる」ために他なりません。「健全な教会」とは、私たち一人ひとりが「全き人となり、ついに、キリストの満ちみちた徳の高さにまで至る」ことを意味しています。そのために必要なことは次の三つのことです。
　１．神の子を信じる信仰の一致
　肉体は主に骨格系統、循環器系統、神経系統から成り立っています。こ三つの正常な機能が健全な肉体を作り上げていくと考えられます。精神的・霊的な存在としての私たち、そして私たち信仰者の集まりである教会にも同じ事が言えると思います。第一の信仰の一致とは循環器系統に当たります。宗教改革500年記念を来年に控え、私たちはルターの提唱した「聖書のみ､信仰のみ､恵みのみ」の信仰にしっかりと立たせて頂きたいと願います。
　２．彼を知る知識の一致
　これは骨格系統に当たります。これは正当な教理に当たります。プロテスタント教会が共通して告白できる信条は「使徒信条」です。教会の礼拝においてこの信仰告白を唱和する意味は二つあります。一つはお互いの信仰を確認すること、二つは「使徒信条」の一部を加筆･削除する人々と区別するためです。
　３．愛の一致
　これは神経系統に当たります。神経回路は頭から体全体に指令が張り巡らされています。重要な神経から抹消神経に至るまで一寸の異常が肉体を痛めます。聖書は「愛にあって真理を語り、あらゆる点において成長し、かしらなるキリストに達するのである。キリストを基として、全身はすべての節々の助けにより、しっかりと組み合わされ結び合わされ、それぞれの部分は分に応じて働き、からだを成長させ、愛のうちに育てられていくのである。」と教えています。

それぞれの賜物の違いを認め、尊重し合いながら、決して独断偏狭に陥ることなく、全体として麗しい聖霊の調和を醸し出す教会として成長して行こうではありませんか。