聖 書:ルカ12:13~21

(13) 群衆の中のひとりがイエスに言った、「先生、わたしの兄弟に、遺産を分けてくれるようにおっしゃってください」。(14) 彼に言われた、「人よ、だれがわたしをあなたがたの裁判人または分配人に立てたのか」。(15) それから人々にむかって言われた、「あらゆる貪欲に対してよくよく警戒しなさい。たといたくさんの物を持っていても、人のいのちは、持ち物にはよらないのである」。(16) そこで一つの譬を語られた、「ある金持の畑が豊作であった。(17) そこで彼は心の中で、『どうしようか、わたしの作物をしまっておく所がないのだが』と思いめぐらして(18) 言った、『こうしよう。わたしの倉を取りこわし、もっと大きいのを建てて、そこに穀物や食糧を全部しまい込もう。(19) そして自分の魂に言おう。たましいよ、おまえには長年分の食糧がたくさんたくわえてある。さあ安心せよ、食え、飲め、楽しめ』。(20) すると神が彼に言われた、『愚かな者よ、あなたの魂は今夜のうちにも取り去られるであろう。そしたら、あなたが用意した物は、だれのものになるのか』(21) 自分のために宝を積んで神に対して富まない者は、これと同じである」。

 人間はお金を貯めておく習性を持っています。アダムが罪を犯す前まではこの習性がありませんでしたが、アダムの罪の後、この習性を身につけることになりました。それは人類が生き延びるために習得したものですが、良い意味もあれば、悪い意味もあります。知恵になる時もあれば、愚かになる時もあります。貯めておく習性で愚かになった代表的な例が出エジプトの時、イスラエルの民が食べたマナです。神様は一日の分しか与えて下さいませんでした。神様はイスラエルの民に明日の分を貯めておく習性を最初から禁止されました。貯めておくことが禁止になることは本当にきつい信仰の訓練です。私達にはイスラエルの民が経験した教育方法は出来ません。なぜなら、私達は何も持っていない状態を経験したことがないからです。何も持たなかったイスラエルの奴隷の状態を私達は耐える事が出来ません。イスラエルと私達は相当違いますので経済に関する神様の訓練方法は確かに違います。しかし、神様は私達に今日のみことばを通して、二つの事を要求なさいます。貯めておく知恵と使う知恵を常に要求なさいます。
1.貯める知恵
 ある金持ちが、ある年、畑が豊作になりました。彼は今までも努力して、貯めて、貯めて、お金持ちになりましたが、ある年はもっと沢山の収穫が出来ました。相当の努力もありましたが、幸運も重なって、この金持ちには今までとは違う規模の経済的な祝福がありました。そして、この金持ちは17節「そこで彼は心の中で・・・・思いめぐらし」ました。特別に収穫したこの農作物をどうしようか?彼は儲かることに関しては特別な知恵がありましたが、今回もその知恵を使いました。もっと長く、もっと安全にこの富を使える方法を思いめぐらしました。そして、とうとうその答えを得ました。古くて小さい「倉を取りこわし、もっと大きいのを建てて、そこに穀物や食糧を全部しまい込もう」と彼は素晴らしい答えを得ました。そして喜びました。「たましいよ、さあ安心せよ!」神様は彼にお金を貯める知恵を与えて下さいました。彼はお金を貯めることに関しては知恵を充分使いました。そして、人生の半分は成功しています。ところで、彼はお金を使うことに関しては知恵がありませんでした。
2.使う知恵
 今日の箇所に出てくる金持ちの愚かさは貯めたお金を使うことに関しては知恵が全く無かったことにあります。彼は儲かることばかり集中したため、それを使うことに関してはあまり、考えていませんでした。彼がせいぜいお金を使うところは「食い、飲み、楽しむ」ことです。この三つは知恵ある使い方ではありません。なぜなら、知恵がある人も、全く知恵がない人も食べて、飲んで、楽しむことくらいは皆やっています。いくら貧しい人も、いくら豊かな人も、いくら賢い人でも、いくら愚かな人でも食べて、飲んで、人生を楽しむところにお金を使うことくらいは分かっています。ですから彼は全く知恵がありません。彼はお金を貯めることには知恵が優れていましたが、その反面、それを使うことには非常に愚かでした。彼の愚かさ、つまり使う知恵がないことをもっと詳しく分けてみると、一つは、彼は意味あるところにお金を使うときにもっと大きな喜びがあることを知りませんでした。二つは、今まで人生の全てが神様からの祝福であることを知りませんでした。感謝を忘れました。三つは、貯めた富はどこかに使わなければなりませんが、彼はそれが間に合わなかったのです。四つは、お金を信じて、永遠の安心をお金から求めたことです。
 神様は私達の一生を通して経済的に祝福して下さいますが、貯めることも使うことも一生、神様からの知恵が必要です。その知恵を用いて意味ある、豊かな人生を過ごしましょう。