聖書:エペソ1章1節~12節

1 神の御旨によるキリスト・イエスの使徒パウロから、エペソにいる、キリスト・イエスにあって忠実な聖徒たちへ。
2 わたしたちの父なる神と主イエス・キリストから、恵みと平安とが、あなたがたにあるように。
3 ほむべきかな、わたしたちの主イエス・キリストの父なる神。神はキリストにあって、天上で霊のもろもろの祝福をもって、わたしたちを祝福し、
4 みまえにきよく傷のない者となるようにと、天地の造られる前から、キリストにあってわたしたちを選び、
5 わたしたちに、イエス・キリストによって神の子たる身分を授けるようにと、御旨のよしとするところに従い、愛のうちにあらかじめ定めて下さったのである。
6 これは、その愛する御子によって賜わった栄光ある恵みを、わたしたちがほめたたえるためである。
7 わたしたちは、御子にあって、神の豊かな恵みのゆえに、その血によるあがない、すなわち、罪過のゆるしを受けたのである。
8 神はその恵みをさらに増し加えて、あらゆる知恵と悟りとをわたしたちに賜わり、
9 御旨の奥義を、自らあらかじめ定められた計画に従って、わたしたちに示して下さったのである。
10 それは、時の満ちるに及んで実現されるご計画にほかならない。それによって、神は天にあるもの地にあるものを、ことごとく、キリストにあって一つに帰せしめようとされたのである。
11 わたしたちは、御旨の欲するままにすべての事をなさるかたの目的の下に、キリストにあってあらかじめ定められ、神の民として選ばれたのである。
12 それは、早くからキリストに望みをおいているわたしたちが、神の栄光をほめたたえる者となるためである。

 ほむべきかなという讃美と感謝ではじまるパウロの言葉は、とても獄中にいる人の言葉とは思えないものです。それは、彼の心が周りの環境に支配されないで、父なる神に支配されていること、常にその心は天に向いていたことがわかります。彼は、エペソの教会の人々にキリストによって救われたものたちに与えられた恵みかどんなにすばらしいものであるか、そしてその恵みをほめたたえるようにとすすめています。
1.罪過のゆるしを受ける恵み
キリストの救いは、血によるあがないによるものです。あがないという言葉は、奴隷を解放するために代価を支払うことによって「自由にする」または「開放する」ことを意味しました。罪の奴隷であり、またそのとりこになっていたわたしたちを、自ら血を流すという代価を払ってわたしたちを買い戻してくださったのがキリストご自身です。わたしたちは、自分の力で、罪から解放されたいと思っても不可能です。自分では何一つできないのです。それなのに何かできると思う心が少しでもあると、キリストのあがないの恵みは薄れます。キリストのあがないを知っていてもその恵みに生かされることはありません。自分では何一つできないものであることを徹底的に知るとき、罪過のゆるしの恵みが魂のうちに満ち溢れます。
2.御旨の奥義を知る恵み
 さらにその恵みは、増し加わって、わたしたちに何を与えているかというと、あらゆる知恵と悟りとを与えて、御旨の奥義を知るものとさせてくださっているのです。神の奥義を知るためには、知恵と悟りが必要です。また、御旨とは、神自ら定められた計画であり、時の満ちるに及んで実現されるご計画のことです。創世記18章のところでは、神は、アブラハムにこれからしようと思うことを話されました。神は、アブラハムだけではなく、わたしたちにも神の御旨をお教えなさろうとされているのです。それほど近い関係、深い親しい交わりを持ちたいと願っておられるのです。わたしたちの人生は、どこに行くかわからないような人生ではないのです。神が導いておられる。それもそのお心を教えていただけるのです。
3.御旨にしたがって用いられる恵み
 救いは、選びです。この選びというのは、何か特別だから選ばれた、誰かより勝っていたから選ばれたという選びではありません。神が私たちを愛して、救いに導いてくださったところには、神の一方的な選びがあります。そしてこの選びは、御旨の欲するままにすべてのことなされるお方のもとで選ばれました。それは、その御旨によるご計画が私たちを通して実現していくためです。パウロは、獄中の中でもこの選びの中に生きていました。選ばれていることがよくわかれば、必ずどんな所でも神の使命があることがわかります。わたしたちは、確かに細かな神のご計画はわからないかもしれません。しかし、そのすべてがわからなくても、選んでくださったお方はその御旨に従って用いてくださるお方であり、使命を必ず全うさせてくださるお方なのです。
 御子によって賜わった恵み、それは測り知れないものです。その恵みは、わたしたちを赦しの確信と神の御心を知るものとされて、そのご目的のために生かされていく喜びに満たされるものとされます。測り知れない天の祝福を日ごとにこの身に受け、また周囲の人にもこの祝福と恵みを伝えていくものとならせていただきましょう。