聖 書  創世記24章42節~58節

42:わたしはきょう、泉のところにきて言いました、『主人アブラハムの神、主よ、どうか今わたしのゆく道にさいわいを与えてください。
43:わたしはこの泉のそばに立っていますが、水をくみに出てくる娘に向かって、「お願いです。あなたの水がめの水を少し飲ませてください」と言い、
44:「お飲みください。あなたのらくだのためにも、くみましょう」とわたしに言うなら、その娘こそ、主がわたしの主人の子のために定められた女ということにしてください』。
45:わたしが心のうちでそう言い終らないうちに、リベカが水がめを肩に載せて出てきて、水をくみに泉に降りたので、わたしは『お願いです、飲ませてください』と言いますと、
46:彼女は急いで水がめを肩からおろし、『お飲みください。わたしはあなたのらくだにも飲ませましょう』と言いました。それでわたしは飲みましたが、彼女はらくだにも飲ませました。
47:わたしは彼女に尋ねて、『あなたはだれの娘ですか』と言いますと、『ナホルとその妻ミルカの子ベトエルの娘です』と答えました。そこでわたしは彼女の鼻に鼻輪をつけ、手に腕輪をつけました。
48:創そしてわたしは頭をさげて主を拝し、主人アブラハムの神、主をほめたたえました。主は主人の兄弟の娘を子にめとらせようと、わたしを正しい道に導かれたからです。
49:あなたがたが、もしわたしの主人にいつくしみと、まことを尽そうと思われるなら、そうとわたしにお話しください。そうでなければ、そうでないとお話しください。それによってわたしは右か左に決めましょう」。
50:ラバンとベトエルは答えて言った、「この事は主から出たことですから、わたしどもはあなたによしあしを言うことができません。
51:リベカがここにおりますから連れて行って、主が言われたように、あなたの主人の子の妻にしてください」。
52:アブラハムのしもべは彼らの言葉を聞いて、地に伏し、主を拝した。
53:そしてしもべは銀の飾りと、金の飾り、および衣服を取り出してリベカに与え、その兄と母とにも価の高い品々を与えた。
54:彼と従者たちは飲み食いして宿ったが、あくる朝彼らが起きた時、しもべは言った、「わたしを主人のもとに帰らせてください」。
55:リベカの兄と母とは言った、「娘は数日、少なくとも十日、わたしどもと共にいて、それから行かせましょう」。
56:しもべは彼らに言った、「主はわたしの道にさいわいを与えられましたから、わたしを引きとめずに、主人のもとに帰らせてください」。
57:彼らは言った、「娘を呼んで聞いてみましょう」。
58:彼らはリベカを呼んで言った、「あなたはこの人と一緒に行きますか」。彼女は言った、「行きます」。

金 言 
「この事は主から出たことですから、わたしどもはあなたによしあしを言うことができません。(創世記24:50)
 アブラハムの息子イサクの結婚の経緯についてである。「主はすべての事にアブラハムを恵まれた。」(1)とあるように、アブラハムは多くの財産を与えられて、息子イサクも順調に成長した。しかし問題があった。アブラハムはすっかり年老いたのに、40歳を迎えるイサクの妻が決まっていなかった。アブラハムは主の契約に基づくただ一人の継承者イサクのために、主のみこころにかなった嫁を探すという重要な務めを最も信頼をおくしもべに一任した(2)。
信仰による条件
 アブラハムはしもべを送り出す際に、イサクの妻になるべき女性についていくつかの条件を提示した。まずその女性はカナンの娘であってはならないことだ。カナンの娘は主を信じる者ではないので、アブラハムの約束を受け継ぐ子孫を産むのにふさわしくない。彼は自分の生まれ故郷の親族のところにいる女性を探すように命じる。かの地の娘は真の神様を信じているからだ。信仰者にとって主を信じる者との結婚は主のみこころにかないしたがって祝福も多い。
 次に息子を向こうに連れ帰ってはいけないことだ。その理由は、「天の神、主はわたしを父の家、親族の地から導き出してわたしに語り、わたしに誓って、おまえの子孫にこの地を与えると言われた。」(7)からだ。契約の子イサクはこの地を受け継ぐためにとどまらなければならない。時として信仰を持つことで譲歩してはいけないことは出てくる。柔軟性と軟弱は一線を画すべきだ。私たちは大切なことを決める際には信仰による条件をつけて祈った上で事に当たり、自分を喜ばすためではなく神様に喜ばれる生き方を選びたい。
信仰による導き
 こうしてしもべがナホルの町に着いたのは夕暮れだった(11)。彼と十頭のらくだは井戸の傍らに伏した。しもべは主の導きでこの井戸のほとりに来た。それはらくだに水を飲ませるためであったが、夕暮れ時は女性が井戸に水を汲みに来る頃であり、その水を汲みに来る女たちの中から、イサクの妻となる女性を探そうとした。しもべはまず神様に祈る。具体的で適切なことばで祈った。井戸に来る娘に声をかけた時、親切でよく気がつき、労を惜しまない働き者の娘を与えてくださいと主の導きを求めた。すると「彼がまだ言い終らないうちに」(15)、主は理想的な娘リベカと出会わせてくださった。らくだ十頭に飲ませる水は相当の量が必要だった。しもべはその労苦を物ともせずにリベカが甲斐甲斐しく働く姿を黙って見守ったのちに、祈りに速やかに応えられた主を礼拝した(26)。リベカの兄はしもべを家に招き、食事をふるまう。忠実なしもべは空腹であっても、主人の大切な用事を済ませるまでは食事を取らない(33)。
信仰による決心
 しもべから出来事の一部始終を聞いた兄ラバンと父ベトエルは、「この事は主から出たことですから、わたしどもはあなたによしあしを言うことができません」(50)と主に従う。しもべはこの答えを聞くや否や、主を礼拝した。リベカの家族は、遠くに嫁入りすることが突然決まり。別れを惜しむが、しもべの強い帰還の意志に促されて、リベカに真意を尋ねると、少しの迷いもなく「行きます」と明言する。家族は信仰による決心をもって、主に備えられた道に歩んだ。