聖  書
「わたしはあなたの行かれる所へ行き、またあなたの宿られる所に宿ります。あなたの民はわたしの民、あなたの神はわたしの神です。」(ルツ記1:16)

 マルチン・ブーバーという哲学者は、「人生は出会いで決まる」と言いましたが、確かに私たちの人生はいくつもの出会いによって織り成されています。私が教会に行くきっかけになったのは、一人のアメリカ人クリスチャン女性と知り合ったことがことの発端でした。英語が上手でない私が気後れしないで彼女が行っていた英語礼拝の教会に行ってみたいと考えたのは、彼女が醸し出す温かい人柄と笑顔に強く惹かれたからです。今日の主人公のルツも、神を信じるナオミという女性との出会いによって彼女の人生は全く変わります。

1.危機はあなたを神に引き寄せる
ナオミはルツにとって結婚相手の母親でした。ナオミ一家は飢きんによってやむなくイスラエルを逃れてルツの国のモアブに移住してきます。ところがナオミは夫エリメレクに先立たれ、女手一つで二人の息子を育てます。息子たちは適齢になりモアブの女性と結婚します。その一人の女性がルツでした。ようやく幸せをつかんだナオミでしたが、彼女の息子たちが亡くなるという辛い事件が起こります。ナオミは外国で暮らすうちに、夫と息子たちを両方亡くすという人生最大の危機がきます。後に残されたナオミは悲嘆にくれて嫁たちを連れて、ふるさとイスラエルに帰る決意を固めます。この失意の帰郷を通して神は遠い異教の国で暮らすナオミをイスラエルに呼び戻します。そしてこの転機は後になって祝福に変わるのです。このようにクリスチャンはどんな危機に見舞われても、必要以上に恐れてはいけません。危機はあなたと神の間を割くことはできません。むしろ危機によってあなたをこよなく愛する神は一層あなたを強く引き寄せます。

2.失望はあなたを神に立ち返らせる
ナオミは旅の半ばで嫁たちにモアブの実家に引き返すように強く勧めます。ナオミは可愛い嫁たちが幸せになるための生き方を懸命に考えました。もし嫁が自分に同行してイスラエルに行けば、若いやもめとして外国生活で苦労することは火を見るよりも明らかでした。それより嫁たちがモアブに残り再婚すればまた幸せになれるだろうと考えた末にナオミが出した結論でした。しかし、嫁たちにそれを提案しても二人はナオミに付いて行く覚悟でした(10)。ナオミはなおも自分にすがって泣く嫁たちをなだめて郷里に帰ることを勧めて説得します。ようやく嫁の一人はナオミの助言を受け入れてモアブに戻る決意をしますが、ルツはあくまでナオミを離れません。ルツは神への信仰を義母と出会うことで知りました。ナオミは夫や息子を失うという苦難にあっても神を呪うことなく信じ続けます。その信仰の姿を見て、義母の信じる神は本物の神だとわかりルツもまた同じ信仰を持ちます。ルツは年老いた義母を一人で帰郷させたくありませんでした。母に寄り添い神に従おうと固く決めます。神に従う道は見えるところは安穏な道ではありませんが、やがて必ず祝福が待ち受けています。たとえあなたが神に失望することがあっても、神から目をそらさないで神を信頼しましょう。試練にあっても神があなたを愛していることを疑ってはいけません。イエスの十字架と復活が何よりそれを雄弁に語ります。

3.どんな時にも神を頼りにする
ナオミは外国人の嫁であるルツが自分にどこまでもついて行くと決意を固めていることを知り説得をあきらめて、二人はイスラエルへ旅を続けます。一方、ルツはナオミと生活することで初めて本物の神に出会いました。義母はどんな時にもまず神に祈りと感謝を献げ、苦しいときにもひたすら神だけを頼みにしていました。ルツは母の忠実な姿を間近に見たことで彼女の信仰心に強い感化を受けました。ルツはイスラエルの家族と暮らすまでは、このような強い信仰を見ることはありませんでした。ルツは神に対する純粋で徹底的に敬虔な信仰の母にどこまでも付いて行こうと一旦決めたら、まだ見ぬ土地に向かうことやどんなことが待ち受けているとしても、もう迷いも恐れもありませんでした。ルツにとって母ナオミとの出会いがその後の人生を決定づけました。あなたもこの神と出会いこの神を本気で信じるとき、あなたの人生が変わることをお約束します。

【今日の祈り】 神様、困った時は自分の知恵や力で、問題を解決しようとしてしまいます。どうかいつどんな時も、あなたを仰いで聖霊に頼り、みことばを信じて、どこまでも神様に従って行けますように、信仰の弱い私を助けてください。