聖　書　　ヨハネによる福音書３章１６～２１節
3:16 神はそのひとり子を賜わったほどに、この世を愛して下さった。それは御子を信じる者がひとりも滅びないで、永遠の命を得るためである。
3:17 神が御子を世につかわされたのは、世をさばくためではなく、御子によって、この世が救われるためである。
3:18 彼を信じる者は、さばかれない。信じない者は、すでにさばかれている。神のひとり子の名を信じることをしないからである。
3:19 そのさばきというのは、光がこの世にきたのに、人々はそのおこないが悪いために、光よりもやみの方を愛したことである。
3:20 悪を行っている者はみな光を憎む。そして、そのおこないが明るみに出されるのを恐れて、光にこようとはしない。
3:21 しかし、真理を行っている者は光に来る。その人のおこないの、神にあってなされたということが、明らかにされるためである。

金  言
「神はそのひとり子を賜わったほどに、この世を愛して下さった。それは御子を信じる者がひとりも滅びないで、永遠の命を得るためである。」（ヨハネ3:16）

　今日は「聖書の中の聖書」と呼ばれる16節が読まれました。欧米並みにクリスマスを盛大に祝うことが習慣となった日本ですが、残念なことに日本人にはクリスマスをどうして喜び祝うのかという問いは未だなおざりにされています。ではみんなどうしてクリスマスを祝うのか。…その答えはクリスマスの出来事から神の愛の物語が始まったからです。クリスマスは神の愛を讃えるときです。その意味を今日の聖書箇所ヨハネ3章16節はストレートにわかりやすく言い表しています。

1.神はこの世を愛された
 　神の愛の対象となったこの世とは、時代や人種を超えた全人類のことです。では世は神に愛されるにふさわしい価値があるものでしたか。まったくそうではありませんでした。人は一人残らず間違いなく罪人です。それは創世記で人類の初めの人アダムとその妻エバは、悪魔の使いであるヘビの誘惑に乗せられて神から禁じられた善悪を知る実を食べてしまうことが諸悪の根源です。そのときから罪は人間に入り、その罪は親から子、子から孫へと絶えることなく受け継がれています。人は行いによる罪を犯してしまうから罪人になるのではなく、もともと罪を持って生まれてきたから罪を犯してしまうのです。罪は生まれながらにしてすべての人にインプットされていてプログラムされているのです。その結果人は神を否定して、神に背を向けて、神などいないかのように振る舞い自分中心に生きるものになりました。それにもかかわらず、神はこの世を愛されたのです。それも「神はそのひとり子を賜ったほどに」です。賜るとは王様が家来にほうびを授けるように思いますが、ギリシャ語の意味は「お捨てになった」です。つまり神はそのひとり子をお捨てになったほどにこの世を愛して下さった」ということです。それはイエスの十字架上での叫びによっても明らかです。

2.十字架は神の愛のしるし
　神がひとり子をお捨てになるほどの決断と行動とはイエス・キリストの十字架に現れています(マタイ27:46)。神がひとり子を世に下されたのは驚くべき神のご決断です。つまりクリスマスにイエス・キリストが人として世に来られたのは、神の愛がこの出来事が原因なのです。神の愛による意思が、神を突き動かして、イエス・キリストを世に遣わされたことです。神がそこまでの犠牲を払った世とは神に敵対して、神なんかいなくても生きられると、むしろ神になんか自分の生き方を介入されることを嫌う人間の住む場所です。神はそこに最愛のひとり子を送られました。イエス・キリストは世で病の人を癒し、貧しい人を豊かにして、悲しんでいる人に希望を与えました。最初は世を救うために来られたイエスの話に耳を傾け喜んでいた人も、最期にはイエスを十字架につけろと叫んだのです。そんな十字架は神の愛のしるしで、そこには永遠に神の愛があかしされています。そしてクリスマスは神が愛を決起されたときでした。クリスマス…それはどんなことがあろうとも、わたしたち人間を永遠に愛し続けるという神の堅い決意が世に示されたときでした。それは人間の愛とはまったく異なります。わたしたちの愛は、無意識に相手からの見返りを求めます。それに比べて、神の愛は見返りを一切期待しない一方的な無償の贈り物です。ただ受け取る人は感謝をもって受けとめることが求められます。そうするならば内在しているその人の罪は十字架によってすべて赦され、そこに新しい命が始まる力をもつ愛、神の愛には人間を根本的に変える力があります(Ⅱコリント5:17)。

3.御子を信じる者は滅びから救いへ
　この神の愛は何のためにわたしたち人間に向けて差し出されたのでしょうか。16節後半には「それは御子を信じる者がひとりも滅びないで、永遠の命を得るためである。」 と神の愛のご目的が書かれています。人は救いによって、神に造られた罪に汚されていない本来の自己を取り戻し、地上においての祝福だけでなく、神の国に入る永遠の命へのパスポートを神からの頂くのです。人は救い主キリストと出会い、しっかりと結びつくことで、人は苦しみ悩みが喜びと感謝に、不安と思い煩いから希望に、滅びから命へと向かう方向に変わるのです。この神の愛は愛される価値がある特定の人に向けられたのではなく、「ひとりも滅びないで」と言われすべての人が神の愛の対象です。人はふさわしい価値があるから神が愛するのではなく、神が愛してくださるからこそ、価値があるのです。この愛を受けるのに必要なことは二つです。まず心にある罪、言葉にした罪、行動による罪を素直に認めて神に告白します(Ⅰヨハネ1:9)。そしてイエス・キリストがその罪の身代わりとなって死なれたことを信じることです(ローマ10:9〜10)。クリスマス、神の愛の真実と情熱を知るとき、人はそれに応えずにはおられないのです。あなたのために救い主は世に来られました。