聖 書 エペソ人への手紙4章11~16節
4:11 そして彼は、ある人を使徒とし、ある人を預言者とし、ある人を伝道者とし、ある人を牧師、教師として、お立てになった。
4:12 それは、聖徒たちをととのえて奉仕のわざをさせ、キリストのからだを建てさせ、
4:13 わたしたちすべての者が、神の子を信じる信仰の一致と彼を知る知識の一致とに到達し、全き人となり、ついに、キリストの満ちみちた徳の高さにまで至るためである。
4:14 こうして、わたしたちはもはや子供ではないので、だまし惑わす策略により、人々の悪巧みによって起る様々な教の風に吹きまわされたり、もてあそばれたりすることがなく、
4:15 愛にあって真理を語り、あらゆる点において成長し、かしらなるキリストに達するのである。
4:16 また、キリストを基として、全身はすべての節々の助けにより、しっかりと組み合わされ結び合わされ、それぞれの部分は分に応じて働き、からだを成長させ、愛のうちに育てられていくのである。

金 言 「また、キリストを基として、全身はすべての節々の助けにより、しっかりと組み合わされ結び合わされ、それぞれの部分は分に応じて働き、からだを成長させ、愛のうちに育てられていくのである。」(エペソ4:16)

 

5月末の聖日から「エペソ書の描く教会像」を取り上げています。今日はその4回目になり、来週は最後に5章を取り上げます。エペソ書はピリピ書、コロサイ書、ピレモン書と共に「獄中書簡」と呼ばれています。著者であるパウロはそれまでの3回の動的な伝道旅行から、幽閉されてしまいカイザリヤで2年(57-59年)とローマで2年(59-61年)の四年間一転、牢獄の中で静かな思い巡らしのときを持ちます。パウロは思い巡らすうちに「教会のあるべき姿」の幻を見て、それをエペソの教会にあてて書き送っています。エペソ周辺の教会にもこの手紙は回覧されました。今日は教会のあるべき姿を「愛によって働くキリストのからだ」というテーマで話します。

1.主のからだは奉仕によって成長する

私が洗礼を受けて間もなくから、教会で一貫して関わってきた奉仕は、聖書を教えるという教師です。CS教師を始めたきっかけは、従妹の保育園児を教会で面倒を見るためでした。結果的には信仰生活で奉仕することほど、自分の信仰の成長に役立ったことはありませんでした。いまだに教えることは上手くはありませんが、誰かに教えるためには、まず自分を空しくして祈りながら霊の耳を澄まし、主から教えていただかなければ、神様のみことばを取り次ぐはできないと知りました。

11節の「彼」はキリストです。ということはすべて教会の奉仕はキリストがその人を「お立てになった」のです。選挙で選ばれても、自発的に志願しても、教会から乞われても、奉仕者表に名前が書かれてあるだけでも、人間ではなく神様があなたを選ばれたのです。「あなたがたがわたしを選んだのではない。わたしがあなたがたを選んだのである。そして、あなたがたを立てた。…」(ヨハネ15:16)初代教会は使徒や預言者が活躍していました。口語訳で「伝道者」と訳された言葉は、新共同訳では「福音宣教者」と使命がはっきりしています。「牧師(牧者)」と「教師」は役割が当時分かれていたのですが、現代ではどれも牧師に必要とされる奉仕になっています。牧者といえばヨハネ21章で、復活されたイエス様がペテロに三度「私の羊を養いなさい。」と繰り返しました。教会にとって「牧会(pastoral care)」は福音宣教と同じくらい大切な働きです。この働きは牧師だけでなく、信徒同士が礼拝や集会で、交わりと祈りによって相互牧会を行っています。あなたの細やかな心配りや気遣いで誰かが慰めや励ましを受けます。心がけたい。

2.成熟した人、未熟な者

教会には長い信仰の穏やかな婦人もいれば、洗礼を受けた間もない人もいます。13節と14節は好対照な二種類の信仰者を取り上げます。口語訳で「全き人」といっているのは、信仰が成熟した人です。彼らの特徴は「神の子を信じる信仰の一致と彼を知る知識の一致」とに到達している人です。ただし信仰の年数の長さだけでも聖書知識が豊富なだけでも、全き人にはなり得ません。それらが相乗効果を生み「ついに、キリストの満ちみちた徳の高さにまで至る」ことが目標です。彼らの対極にいるのは14節の「子供」で未熟な者です。「教の風」(14)とは、新共同訳には「風のように変わりやすい教え」と訳されています。イエス様は聖書を「天地は滅びるであろう。しかしわたしの言葉は決して滅びることがない。」(ルカ21:33)と真理は不変であると断言します。では間違った解釈な騙されないためにどうすればよいのでしょう。救われた後も聖書の継続教育は必要です。私は先週フランクリン・グラハムミッションが主催する「クリスチャンの生活と証しコース」を受講してきました。非常に質の高いみことばに根ざした良い学びでした。今年の9月には地域の教会が会場になり誰でも無料で学ぶことができます。ぜひ機会を利用してあなたも「愛にあって真理を語り、あらゆる点において成長し、かしらなるキリストに達する」(15)となるように、聖書に学び信仰をグレード・アップしたい。

3.愛によって働くキリストのからだ

パウロは牢屋の中で教会あるべき姿を静かに思い巡らします。16節が今日の中心聖句です。「キリストにより、体全体は、あらゆる節々が補い合うことによってしっかり組み合わされ、結び合わされて、おのおのの部分は分に応じて働いて体を成長させ、自ら愛によって造り上げられてゆくのです。」(16新共同訳)パウロは教会を人のからだに例えて説明します。第一にからだの役割が違うように、教会もまた「補い合うことによって」成長が促されます。二番目にからだがそうであるように「しっかり組み合わされ、結び合わされる」ことでより協調性が増し絆は深まるのです。私たちの教会は有志で取り組んできたビジョン作成をみんなで一緒に創っていこうと、教会全体を男女混合で4,5人の小グループに分けます。グループ内の交流を深めて、それぞれ違った発想に学び「おのおのの部分は分に応じて働いて」お互いが主のからだとして成長しましょう。