聖  書: 創世記8:6~12

(6)四十日たって、ノアはその造った箱舟の窓を開いて、
(7)からすを放ったところ、からすは地の上から水がかわききるまで、あちらこちらへ飛びまわった。
(8)ノアはまた地のおもてから、水がひいたかどうかを見ようと、彼の所から、はとを放ったが、
(9)はとは足の裏をとどめる所が見つからなかったので、箱舟のノアのもとに帰ってきた。水がまだ全地のおもてにあったからである。彼は手を伸べて、これを捕え、箱舟の中の彼のもとに引き入れた。
(10)それから七日待って再びはとを箱舟から放った。
(11)はとは夕方になって彼のもとに帰ってきた。見ると、そのくちばしには、オリブの若葉があった。ノアは地から水がひいたのを知った。
(12)さらに七日待ってまた、はとを放ったところ、もはや彼のもとには帰ってこなかった。

鳩(はと)は私たちにとっては身近な鳥です。公園や駅のホームや道端などに群れをなして、首を振りながら餌を食べ歩く姿は本当に可愛いものです。瀧廉太郎作曲の「鳩ぽっぽ」は子どもの頃から歌い慣れ、聞き慣れた歌です。「鳩に豆鉄砲」、「鳩に三枝の礼あり」、「鳩を憎み豆を作らぬ」などの諺があります。鳩は特急列車の名称、イトーヨーカ堂や平和堂などのロゴマーク、「鳩サブレー」という商品名にもなっています。伝書ばとも忘れてはなりません。

Ⅰ.平和の象徴としての鳩
「ノアの洪水」は40日40夜雨が降り続いたことに起因しています。箱舟に入ってから約一年後にノアとその家族は箱舟を出て新しい地に降りました。そのきっかけとなったのが、箱舟から放たれた鳩がオリブの若葉をくわえて帰って来たことでした。それによってノアは地上から水が引いたことを知りました。第一次世界大戦後の1920年(大正9年)に、平和が訪れたことを記念として「ピース」というたばこが発売されました。第二次世界大戦後の1946年(昭和21年)にも夢や希望、平和な未来を願って「ピース」が発売されました。シンボルマークのオリーブの葉をくわえた鳩は平和の象徴を意味し「ノアの箱舟」に由来しています。

Ⅱ.聖霊に関する三つの時代
ここに聖霊の象徴としての鳩とサタンの象徴としてのからすが対称的に描かれています。聖霊の象徴としての鳩の行動に三つの時代を見ることができます。
1.旧約時代の聖霊
洪水が起こってから約9ヶ月後、ノアはからすと鳩を放ったところ鳩は足を降ろす所が見つからず帰ってきました。聖霊は旧約時代にも存在されましたが、人々の心はまだ聖霊を受け入れるに相応しい状態ではなかったのです。
2.キリスト時代の聖霊
7日後、鳩を放ったところ鳩はオリブの葉をくわえて帰ってきました。この時代において聖霊は神と人との間に真の和解が実現する準備を果たされました。
3.新約時代の聖霊
7日後、鳩はノアの所には帰って来なかったのです。このことは聖霊降臨後、聖霊は救われた人々の心に常住されることを象徴しています

Ⅲ.聖霊を象徴する鳩の姿
1.鳩は聖潔の象徴です。
イエス様は「鳩のように素直であれ」(マタイ10:16)と言われた。素直さは聖潔を表しています。聖霊は清いお方であり、汚れた所にはお住みになれないのです。
2.鳩は柔和の象徴です。
柔和とは優しく、謙遜、寛容、静寂、忍耐深い心を表し、粗暴、傲慢、喧騒、不親切などとは縁遠いものです。柔和は御霊の実の一つです。
3.鳩は愛の象徴です。
聖書は「聖霊によって、神の愛がわたしたちの心に注がれている」(ローマ5:5)と記しています。聖霊の住まれる心にはいつも神の愛が満ちています。

鳩は哀調が漂う「クウクウ」の声から悲しみの鳥とも言われます。愛は悲しみに対して敏感です。「神の聖霊を悲しませてはいけない」(エペソ4:30)、「御霊を消してはいけない」(Ⅰテサロニケ5:19)の言葉をお互いの胸に刻みましょう。