聖 書：ガラテヤ４章１～７節
4:1 わたしの言う意味は、こうである。相続人が子供である間は、全財産の持ち主でありながら、僕となんの差別もなく、
4:2 父親の定めた時期までは、管理人や後見人の監督の下に置かれているのである。
4:3 それと同じく、わたしたちも子供であった時には、いわゆるこの世のもろもろの霊力の下に、縛られていた者であった。
4:4 しかし、時の満ちるに及んで、神は御子を女から生れさせ、律法の下に生れさせて、おつかわしになった。
4:5 それは、律法の下にある者をあがない出すため、わたしたちに子たる身分を授けるためであった。
4:6 このように、あなたがたは子であるのだから、神はわたしたちの心の中に、「アバ、父よ」と呼ぶ御子の霊を送って下さったのである。
4:7 したがって、あなたがたはもはや僕ではなく、子である。子である以上、また神による相続人である。
今日からアドベント(待降節)を迎えた。毎年こんなに早くにと感じる。私たちは主の降誕に相応しい者に整えられ、主の恵みに動かされて、全ての人の救いのために地上に来られたキリストを伝えよう。今日の短い段落から「子」という言葉に目を向けよう。
Ⅰ．地に属する子供であった私たち
１・３節「子供」と６・７節「子」とでは、ギリシャ語で違う言葉が使われている。「子供」は乳児・幼児を指し、子どもっぽさ、知的な理解が足りないなどの意味がある。「子」は子孫と訳され、血のつながりに重きが置かれている。１から３節が示す「子供」は独り立ちには不十分なので管理人・後見人の下に置かれ、この世の霊力に縛られている。霊力とは偶像や呪術、この世の汚れた悪の力である。十分に成長していない、他のあらぬ力の支配を受けてしまう。神様を知らずにこの世に押し流されてしまう人の姿である。人が本来造られた目的はこの世を治めるものであったが、この世の悪に屈従されている人の姿である。
Ⅱ．神様の救いの計画の内にあった私たち
私たちは子どものように十分な力がなく、未熟であった。この世の力に支配されている私たちを解放し、自由にすることを神様は願われた。神様はご自分からこの世に向かって働きかけられ、神様の御子をこの世にお送りくださった。２千年前のユダヤのベツレヘムに生まれた一人のみどりごが神様の御子であった。４節「時の満ちるに及んで」とは備えの時が満ちて動き始めた。世の初めからあった神様の救いの計画が実現した時を表す。「女から」とは私たちと同じ人間としての誕生を表し、神様の救いの計画の方法が示されている。「律法の下に」とはイスラエルの民がアブラハム以来の救いの約束にありながら、救いに至ることはなかった。神様はイスラエルを忘れることなく、結ばれた約束の確かさが表れている。
Ⅲ．天に属する神の子とされる私たち
神様は旧約聖書のままでは成し遂げられなかった救いの計画を、イエス様をこの世に送って実現された。すでに救いは成し遂げられている。実現できなかった律法による救いではない、イスラエルだけの救いでもない。全ての人の救いを神様は表わされた。この手紙の受取人のガラテヤ教会の信徒たちも思い違いをしている。神様の約束に立ちなさいという勧めである。神様は救いの枠組みを示された。そこに立つならば、６節「アバ父よと呼ぶ御子の霊を送って下さった」とあるように聖霊による確信を与えて下さる。神様の救いの手順はついていると呼びかけるだけではなく、そこに立つ者に安心・平安を与えて下さる。外側の事実と内側の照明である。救いは内外に及んでいるのである。
神様の救いの恵みによって私たちは神の子とされる。全てを受け継ぐ特権に与っている。この確信に立ってここに救いがあるとクリスマスの時期、この世に伝えよう。
