聖書:ハガイ1:1~11聖書各巻緒論37・預言書15

1:1 ダレイオス王の第二年、第六の月の一日に、預言者ハガイを通して、シェアルティエルの子、ユダの総督ゼルバベルと、エホツァダクの子、大祭司ヨシュアに、主のことばがあった。
1:2 万軍の主はこう言われる。「この民は『時はまだ来ていない。主の宮を建てる時は』と言っている。」
1:3 すると預言者ハガイを通して、次のような主のことばがあった。
1:4 「この宮が廃墟となっているのに、あなたがただけが板張りの家に住む時だろうか。」
1:5 今、万軍の主はこう言われる。「あなたがたの歩みをよく考えよ。
1:6 多くの種を蒔いても収穫はわずか。食べても満ち足りることがなく、飲んでも酔うことがなく、衣を着ても温まることがない。金を稼ぐ者が稼いでも、穴の開いた袋に入れるだけ。」
1:7 万軍の主はこう言われる。「あなたがたの歩みをよく考えよ。
1:8 山に登り、木を運んで来て、宮を建てよ。そうすれば、わたしはそれを喜び、栄光を現す。主は言われる
1:9 あなたがたは多くを期待したが、見よ、得た物はわずか。あなたがたが家に持ち帰ったとき、わたしはそれを吹き飛ばした。それはなぜか。万軍の主のことばそれは、廃墟となったわたしの宮のためだ。あなたがたがそれぞれ、自分の家のために走り回っていたからだ。
1:10 それゆえ、あなたがたゆえに、天は露を滴らすのをやめ、地はその産物を出すのをやめた。
1:11 わたしはまた、日照りを呼び寄せた。地にも山々にも、穀物にも新しいぶどう酒にも油にも、地が産み出す物にも、また人にも家畜にも、手によるすべての労苦の実にも。」

 

ハガイ書が開かれ、聖書各巻緒論も旧約聖書39巻の内37巻目になる。

Ⅰ.ハガイ、ゼカリヤ(エズラ、ネヘミヤ)の時代
預言書を記した預言者の活動時期は主に、イスラエルが分裂した南北王国時代に当たる。イスラエルの民が不信仰ゆえに、神様を離れ勝手に歩み、偶像礼拝を行い、神様を軽んじたことへの警告が語られた。御心を受け入れて悔い改めなかった両国はついに滅びる。北王国イスラエルは失われ、南王国ユダはバビロンに連れ行かれる。捕囚の地で預言を行ったのはエゼキエル、ダニエルである。旧約聖書の預言書の最後の3巻、ハガイ、ゼカリヤ、マラキはバビロン捕囚後に、主にユダヤを舞台に預言を行った。また、ハガイ、ゼカリヤの時期に、指導者として活動したのがエズラ、ネヘミヤであった。イスラエルの民は敵対する者たちに妨害されながらエルサレム神殿・城壁、国土、何よりも信仰を回復していく時代である。ハガイとゼカリヤは国の復興のために、神の民を励まし、導き、力付ける霊的な使命を負っていた。

Ⅱ.ハガイへの4つのメッセージ
ハガイ書は2章の短い預言書であるが、神様からの4つのメッセージが残されている。
1)第一の宣言1:1~15
ペルシャ王キュロスの布告によってイスラエルの民は第一陣が帰国する。エルサレム神殿再建が始まるが基礎のみで中断。ダレイオス王の第二年まで16年が無為に過ぎた。ハガイは総督ゼルバベルと大祭司ヨシュアへ神様の命令として工事の再開を告げる。その約束は神様が共におられ(1:13)、霊に力を与えられる(1:14)ことにある。
2)第二の宣言2:1~9
栄光に満ちた神殿が建つと、神様はゼルバベル、ヨシュアをさらに励まされる。かつてのソロモンの神殿に勝る(2:9)。栄光が満ちるのは救い主イエス様と結び付いているからである。やがてイエス様はこの宮に立たれ、この宮よりも大いなる者がいると言われた(マタイ12:6)。
3)第三の宣言2:10~19
ここで罪と汚れが示される。イスラエルの今の状態は汚れている。神様を礼拝するために身を清めよとの使信である。今、後のことを考えよと神様は繰り返される。今は神様から離れて空しい状態にあるが、ひれ伏し、悔い改め、立ち返るなら祝福の約束が果たされる(2:19)。
4)第四の宣言2:20~23
イスラエルを率いる総督ゼルバベルへの励ましである。天地が揺り動かされても、どんな王国、軍隊が押し寄せても勝利、守りがある。「あなたを選んで印章とする。」(2:23)とあり、神様の保証が確かであることを示している。

Ⅲ.ハガイを通してなされる業
バビロンからユダヤへの帰還を果たしても、敵対勢力による妨害があり、16年間の空白がある。エルサレム神殿・城壁の再建へ、国土の復興へ向かうには多くの困難があった。乗り越えていく信仰をハガイは語り続けた。

コロナ禍4年目の教会の働き、教団のことも本日の信徒懇談会で語る。再建、復興を果たしていくために霊的な力をいただこう。