聖書各巻緒論38・預言書16

聖書:ゼカリヤ3:1~10

3:1 主は、主の使いの前に立っている大祭司ヨシュアを私にお見せになった。サタンが彼を訴えようとしてその右手に立っていた。
3:2 主はサタンに言われた。「サタンよ、主がおまえをとがめる。エルサレムを選んだ主が、おまえをとがめる。この者は、火から取り出した燃えさしではないか。」
3:3 ヨシュアは汚れた服を着て、主の使いの前に立っていた。
3:4 御使いは、自分の前に立っている者たちにこう答えた。「彼の汚れた服を脱がせよ。」そしてヨシュアに言った。「見よ、わたしはあなたの咎を除いた。あなたに礼服を着せよう。」
3:5 私は言った。「彼の頭に、きよいターバンをかぶらせなければなりません。」すると彼らは、彼の頭にきよいターバンをかぶらせ、服を着せた。そのとき、主の使いはそばに立っていた。
3:6 主の使いはヨシュアを諭して言った。
3:7 「万軍の主はこう言われる。『もし、あなたがわたしの道に歩み、わたしの戒めを守るなら、あなたもまた、わたしの家を治め、わたしの庭を守るようになる。この立っている者たちの間に出入りすることをわたしはあなたに許す。
3:8 聞け、大祭司ヨシュアよ。あなたも、あなたの前に座している同僚たちも。彼らはしるしとなる人たちだ。見よ、わたしはわたしのしもべ、若枝を来させる。
3:9 見よ、わたしがヨシュアの前に置いた石を。一つの石の上には、七つの目がある。見よ、わたしはそれに文字を彫る。万軍の主のことば一日のうちに、わたしはその地の咎を取り除く。
3:10 その日には、万軍の主のことばあなたがたは互いに自分の友を、ぶどうの木といちじくの木の下に招き合う。』」

 

2022年度の最後の月になった。聖書各巻も本日と26日で旧約聖書を終える。4月からは新約聖書に入る。聖書各巻について知っていただきたい最低限のことを語ってきた。聖書は長い歴史と、中近東を中心にした広い地域が舞台となる。歴史については縦軸、地理については横軸になって、漠然としてではなく時間と空間を捉えていくことができる。

Ⅰ.ゼカリヤの時代
預言者ゼカリヤの働きは、前回のハガイの少し後になる。ユダヤの民はバビロン捕囚から解かれて、故国に帰還を果たした。破壊されたエルサレム神殿の再建にとりかかるが妨害にあって基礎工事で止まってしまう。16年間の中断を経てハガイの宣告「この宮が廃墟となっているのに、あなたがただけが板張りの家に住む時だろうか。」(ハガイ1:4)によって工事は再開された。ゼカリヤはハガイと同時期に、共に主の言葉を伝える。ハガイが神殿再建の1点集中の直截な使信であったが、ゼカリヤはより広く、多くの内容を含む。

Ⅱ.ゼカリヤ書の内容
ゼカリヤ書は大きく2区分できる。1から8章は同時代へのメッセージ、9から14章は未来へのメッセージになる。ゼカリヤ書は悔い改めのメッセージで始まる「『万軍の主はこう言われる。あなたがたは悪の道と悪しきわざから立ち返れ。』しかし、彼らはわたしに聞かず、わたしに耳を傾けもしなかった。」(1:4)。神殿工事は再開されたがユダヤの民の根本にある不信仰を指摘する。8章には神殿の完成を越えて、神様の祝福の約束が語られる「それは、平安の種が蒔かれ、ぶどうの木が実を結び、地が産物を出し、天が露を滴らすからだ。わたしはこの民の残りの者に、これらすべてを受け継がせる。」(8:12)。これらの言葉はゼカリヤの時代を越えてメシアの到来、終末にまで及ぶ。ゼカリヤ書は救い主イエス様の到来、完成者である再臨のイエス様が主役となるヨハネ黙示録と深い関連がある。

Ⅲ.ゼカリヤ書のメシア預言
ゼカリヤ書のメシア・救い主の預言は3章以外にも多い。6:12・13「一人の祭司」、9:9「柔和な者で、ろばに乗って」、11:12・13「銀三十…陶器師に投げ与えた。」、12:10~14「自分たちを突き刺した者」、13:1「一つの泉」、13:7「羊飼いを打て。」、14章全体は主の日の完成を表している。3章は「しもべ、若枝、置いた石」がメシアを指している。特に石に7つの目がある(3:9)とは、ヨハネ黙示録5:6の屠られた小羊が「7つの角と7つの目を持っていた。」とつながる。7つの目は御霊を指している。黙示録5:6は屠られた小羊が最初に出てくる重要箇所である。黙示録では屠られた小羊、再臨のイエス様こそ、神、王、牧者、審判者である。ゼカリヤ書と黙示録のつながりは大切である。

ゼカリヤは神殿再建の時代に主に仕えた。彼の霊的な目は、捕囚期後のイエス様が誕生されるまでの中間期のユダヤの民の堕落、全てを改めるメシア・イエス様の誕生、イエス様が再び来られ完成へと導かれる終末を見通していた。私たちも目の前の心配や戦いもあるが、主の日、救いの完成を待ち望んでいよう。