聖書:ネヘミヤ9:9~15

9:9 あなたはエジプトで私たちの先祖の苦難を見て、葦の海のほとりで、その叫びを聞かれました。
9:10 ファラオとそのすべての家臣、その国のすべての民に対して、数々のしるしと不思議を行われました。彼らが私たちの先祖に対して傲慢にふるまったのを、あなたがみこころに留められたからです。こうして、今日あるとおり、あなたは名をあげられました。
9:11 あなたは私たちの先祖の前で海を裂き、彼らは海の真ん中の乾いた地面を渡りました。追っ手は、奔流に吞み込まれる石のように、あなたが海の深みに投げ込まれました。
9:12 昼は雲の柱の中にあって彼らを導き、夜は火の柱の中にあってその行くべき道を照らされました。
9:13 あなたはシナイ山の上に下り、天から彼らと語り、正しい定めと、まことのみおしえ、良き掟と命令を彼らにお与えになりました。
9:14 あなたの聖なる安息を彼らに教え、あなたのしもべモーセを通して、命令と掟とみおしえを彼らに命じられました。
9:15 彼らが飢えたときには、天からパンを与え、渇いたときには、岩から水を出し、彼らに与えると誓われたその地に入ってそこを所有するよう、彼らに命じられました。

4月新年度を迎えて教会は、棕櫚の主日、復活日を過ごしてきた。例年と同じく本年度の教団聖句(ネヘミヤ9:11・12)から語る。本年は聖句を選んだ側としての話をしたい。

Ⅰ.教団の現状を踏まえて
2月の信徒懇談会で短く話したが、当教会では身近に感じづらいが、教団は現在、困難に直面している。私たちの教会には関係ないで終わらせず、教団の一員として痛みを分かちていただきたい。教団の標語は「転換点を迎えて-過去への感謝、現在への確信、未来への指針-」と導かれた。当然であるが、現在は過去のつながりの上にある。今もゼロからの出発ではない。過去の良きもの、変えないものを受け止めつつ、今持てるものを生かし、未来を構築していく。教団で今まで築かれてきたものは信仰であると、昨年から事あるごとに語ってきた。先祖の地、嗣業の地を忘れずに、ここに立つことによって危機にも動かされないものを持つことができる。その上に新しいものを築いていく。

Ⅱ.聖書の歴史に照らして
今、神様が私たちの教団に語られるメッセージはどこからなのか。ゼロからの出発であれば創造、新生である。しかし、私たちは過去の上に立つので、復興、再建を目指す者である。復興、再建は聖書に照らしてどこからなのかと求めた。エズラ、ネヘミヤ、ハガイ、ゼカリヤの時代と導かれた。この時代に、歴史書を記した神の人エズラとネヘミヤ、預言書を記し、神様の使信を伝えたハガイ・ゼカリヤ、政治的指導者はゼルバベル、宗教的指導者は大祭司ヨシュアがいた。それぞれの使命を担う働き人が備えられていた。教会でもそれぞれの担い手、教団でもそれぞれの担い手が立てられ、支える人々がある。彼らの時代にやや幅はあるが、バビロン捕囚後、神殿再建、城壁の再建、エルサレム・イスラエルの復興を担っていった。

Ⅲ.イスラエルの救いを通して
今朝はネヘミヤ記である。エズラの励ましによってエルサレム神殿は再建されていた。しかし、エルサレムの城壁は崩されたままであった。ネヘミヤはこれを聞き城壁再建に立ち上がる。神殿再建の際と同じようにペルシャ王の厚意を得るが、実際には敵対者によって妨害が起こる。半分は工事に半分は防御、片手で工事を片手に武器を持って進められた。必死の対応に主も応えられ工事は52日間で終わり、主の御名が崇められた(6:15・16)。城壁という具体的な復興がなされ、8章からは完成感謝の礼拝、仮庵の祭り、9章には聖会が招集される。霊的な復興がここになされていく。これまでのイスラエルの歴史を振り返って主が導かれた恵みに感謝し、不信仰の歴史を悔い改め、新しい誓いがなされた(9:38)。神の民が新しくされていくためには具体的・実際的な導きと、霊的・信仰的な復興が必要とされる。

教団全体が、私たちの教会も含めて新しくされ、次の時代に向かっていくために、主の確かな導きをいただきながら勇気を持って進んでいこう。