聖 書:ガラテヤ4:1~7

(1) わたしの言う意味は、こうである。相続人が子供である間は、全財産の持ち主でありながら、僕となんの差別もなく、(2) 父親の定めた時期までは、管理人や後見人の監督の下に置かれているのである。(3) それと同じく、わたしたちも子供であった時には、いわゆるこの世のもろもろの霊力の下に、縛られていた者であった。(4) しかし、時の満ちるに及んで、神は御子を女から生れさせ、律法の下に生れさせて、おつかわしになった。(5) それは、律法の下にある者をあがない出すため、わたしたちに子たる身分を授けるためであった。(6) このように、あなたがたは子であるのだから、神はわたしたちの心の中に、「アバ、父よ」と呼ぶ御子の霊を送って下さったのである。(7) したがって、あなたがたはもはや僕ではなく、子である。子である以上、また神による相続人である。

 第5回日本伝道会議が今年の9月21日(月)~24日(木)に北海道札幌において行われましたが、その際、私は会議の成功を信じて「地の利、人の和、時の運」がすでに備えられていることを指摘しました。「地の利」とは北海道札幌の特異性を、「人の和」とは実行委員会の一致団結を、「時の運」とは日本宣教150周年を意味しています。今年もクリスマスを迎える時となりました。聖書はイエス・キリストの降誕に際して「しかし、時の満ちるに及んで、神は御子を女から生れさせ、律法の下に生れさせて、おつかわしになった」(ガラテヤ4:4)と記しています。
 
Ⅰ.救い主の降誕の時
 聖書は降誕の時について次のように記しています。
 1.時の満ちるに及んで
 胎児は母胎において育てられ、予定日か予定日近くに生まれます。予定日より遅くても早くても良くありません。その最も良い時こそが、満ちた時なのです。
 教会史家E・ケアンズはこの時について三つのことをして指摘しています。
 ①政治的貢献 このためにローマ人が用いられた。当時のローマ帝国によって人類は一つであると言う意識が発達した。ローマ人によって素晴らしい道路網が施設された。地方民を雇用したローマの軍隊によって福音の伝搬が容易に行われるようになった。②知識的貢献 このためにギリシャ人が用いられた。ギリシャ語という普遍的な国語、ギリシャ文化の衰退によってキリスト教に人々の関心が向けられるようになった。③宗教的貢献 このためにはユダヤ人が用いられた。ユダヤ教は霊的唯一神教を強調した。ユダヤ人はメシヤの来臨と言う希望を提供した。ユダヤ教は最も純粋な倫理体系を提供した。ユダヤ人は旧約聖書を用意して、救い主降誕のための道を準備した。ユダヤ人が用意した会堂制度は、初代教会にとって有益なものとなった。
Ⅱ.律法から贖われる時
 聖書はキリストの降誕は「律法の下にある者をあがない出すため」(5)と教えています。律法とは「・・をしてはならない」という禁止条項です。それは確かに神の教えであり、要求なのですが、人は到底守ることの出来ない厳しい教えです。子どもである相続人の後見人のように、非キリスト者にとって律法は気むずかしい後見人のようです。時として私たちも「・・をしてはならない」というような、この世の霊力に縛られていることがあります。今一度「律法の下にある者をあがない出すため」という降誕の目的を再確認させていただきたいものです。
Ⅲ.神の子とされる時
聖書は更に「子たる身分を授けるため」(5)と教えています。私たちは救い主を信じることによって、罪赦され神の子とされました。何の遠慮もなく父なる神に対して「お父さん」と呼ぶことができるのです。何という幸いな身分とされたことでしょうか。キリスト者はすべて「アブラハムの子孫であり、約束による相続人」(3:29)なのです。
 クリスマスを迎えるに際して、今一度救い主の降誕の時が私たちにとってどのような意味があるかをしっかり把握させて頂きましょう。