聖 書:ヨハネ11:45~54

(45) マリヤのところにきて、イエスのなさったことを見た多くのユダヤ人たちは、イエスを信じた。
(46) しかし、そのうちの数人がパリサイ人たちのところに行って、イエスのされたことを告げた。
(47) そこで、祭司長たちとパリサイ人たちとは、議会を召集して言った、「この人が多くのしるしを行っているのに、お互は何をしているのだ。
(48) もしこのままにしておけば、みんなが彼を信じるようになるだろう。そのうえ、ローマ人がやってきて、わたしたちの土地も人民も奪ってしまうであろう」。
(49) 彼らのうちのひとりで、その年の大祭司であったカヤパが、彼らに言った、「あなたがたは、何もわかっていないし、
(50) ひとりの人が人民に代って死んで、全国民が滅びないようになるのがわたしたちにとって得だということを、考えてもいない」。
(51) このことは彼が自分から言ったのではない。彼はこの年の大祭司であったので、預言をして、イエスが国民のために、
(52) ただ国民のためだけではなく、また散在している神の子らを一つに集めるために、死ぬことになっていると、言ったのである。
(53) 彼らはこの日からイエスを殺そうと相談した。
(54) そのためイエスは、もはや公然とユダヤ人の間を歩かないで、そこを出て、荒野に近い地方のエフライムという町に行かれ、そこに弟子たちと一緒に滞在しておられた。

 エルサレルムの宗教指導者とパリサイ人が急に集まりました。死んで墓に葬られていたラザロをイエス様がよみがえらせたという知らせが届いたからです。多くの目撃者が信じました(45節)。エルサレムの宗教指導者は慌てて対策を立てようとしました。この噂が全国に広がって人々が動揺し、反乱でも起したら、ローマの軍隊が来ます。そうなるとエルサレムの平和はなくなります。何よりも既得権を持っている人々の特権が侵害されます。彼らは慌てました。人は慌てると目が見えなくなり、判断力を失うものです。
1.大祭司カヤパの知恵
 皆が慌てている中、指導者として何か答えなければなりません。その時、サタンがカヤパに知恵を与えました。この世の罪の知恵でした。「ひとりの人が人民に代って死んで、全国民が滅びないようになる」。彼らにとって、イエスに罪があるか、ないかは問題ではありません。罪があっても、無くてもイエスの死によって彼らの利益を守ることしか考えていませんでした。立派な建前も前面に出しました。一人が犠牲になってくれれば人民は平和に暮らせる。しかし、その建前の中には人間の汚い利害関係も絡んでいます。汚い利害関係は隠れています。カヤパは真実を求めるよりは、一人を犠牲にする簡単な道を選びました。しかし、たった一人でも義人が犠牲になってはいけません。なぜならその代価は大きいからです。
2.パリサイ人の知恵
 この緊急会議にパリサイ人も席を共にしていました。パリサイ人はもともと祭司と良い関係とは言えません。彼らは互いに信仰路線が違いました。二つのグループは互いに嫌がる関係でした。それなのにパリサイ人はどうして祭司たちと情報を交換し、協力しているのでしょうか(46,47節)。その理由はこうです。パリサイ人にとって祭司は嫌な人々です。けれども、イエス様はもっと嫌な人でした。イエス様がいつもパイサイ人を批判したからです。最も嫌な人を取り除くために、まま嫌な人と暫く親しくなろうと思ったでしょう。この傾向は人間に共通するものです。サタンがパリサイ人にも知恵を与えました。「一番嫌な者を取り除こう。そのために嫌な祭司たちと手を組んで、しばらく我慢しよう」。ですからカヤパの悪の知恵を受け入れました。パリサイ人は汚い人間の欲望等は後ろに隠したまま、格好良い建前を前面に出しました。「一人が代わり犠牲になれば、全国は平和を保てる」。パリサイ人もイエス様のことで、不安定になり、彼らの生活基盤が崩れることを何よりも嫌がっていました。
3.神様の知恵
 ところでヨハネ福音書には本当に面白い神様の知恵があります。神様が何とカヤパと同じ方法を用いられれ、人類を救われました。「罪なき一人が代わりに死ぬことで皆が救われる」。神様が人間の汚い方法をそのまま使われることは不思議ではありませんか。それが十字架の知恵です。人間は死にたくない一人を犠牲に追い込む悪の知恵を持っています。しかし、神の知恵は反対に神自ら命をささげるものです。人間は自分の利益を守るために一人を代わりに犠牲にします。しかし神はご自身を犠牲にして多数の人間を救われます。神の知恵と人間の知恵、どっちが賢いでしょうか。もちろん神の善の知恵の方が賢いです。「一人を犠牲にして皆が救われる」ということはもともと人間の悪の知恵から生まれたものです。サタンからの最悪の知恵です。神はその悪の知恵をそのまま逆利用して神の善の知恵として用いられました。大祭司カヤパの頭から出てきたサタンの最悪の知恵だったのに、神はそれさえ人類を救われる預言として用いられました(51節)。神は素晴らしい創造者です。人間の最悪の知恵さえ、逆に用いられ、救いを造られました。くすしき御わざを褒め称えましょう。