聖書:ネヘミヤ2:4~18

2:4 王は私に言った。「では、何を望んでいるのか。」私は天の神に祈ってから、
2:5 王に答えた。「もしも王が良しとされ、このしもべにご好意をいただけますなら、私をユダの地、私の先祖の墓のある都へ遣わして、それを再建させてください。」
2:6 王は私に言った。王妃もそばに座っていた。「旅はどのくらいかかるのか。いつ戻って来るのか。」王はこれを良しとして、私を遣わしてくださることになり、私は予定を伝えた。
2:7 また私は王にこう言った。「もしも王様がよろしければ、ユダに着くまで私が通行できるように、ユーフラテス川西方の総督たちへの手紙をいただけるでしょうか。
2:8 そして、宮の城門の梁を置くため、また、あの都の城壁と私が入る家のために木材をもらえるように、王家の園の管理人アサフへの手紙もお願いします。」わが神の恵みの御手が私の上にあったので、王はそれをかなえてくださった。
2:9 それで私はユーフラテス川西方の総督たちのところに行き、王の手紙を彼らに手渡した。王は、軍の高官たちと騎兵たちを私とともに送り出してくださった。
2:10 ホロン人サンバラテと、アンモン人でその部下のトビヤは、これを聞いて非常に不機嫌になった。イスラエル人の益を求める者がやって来たからである。
2:11 こうして私はエルサレムに着いて、そこに三日間とどまった。
2:12 ある夜、私は起きて出て行った。ほかに数人の者も一緒であった。しかし私は、私の神がエルサレムのためにさせようと私の心に示しておられることを、だれにも告げなかった。また私自身が乗った動物のほかに、動物はいなかった。
2:13 私は夜、谷の門を通って竜の泉の方、糞の門のところに出て行き、エルサレムの城壁を調べた。それは崩され、その門は火で焼き尽くされていた。
2:14 さらに、泉の門と王の池の方へ進んで行ったが、私が乗っていた動物の通れる場所がなかった。
2:15 夜のうちに流れを上って行って、城壁を調べた。そしてまた引き返し、谷の門を通って戻った。
2:16 代表者たちは、私がどこへ行っていたか、また私が何をしていたかを知らなかった。ユダヤ人にも、祭司たちにも、有力者たちにも、代表者たちにも、そのほか工事をする者たちにも、その時まで私は何も告げていなかった。
2:17 私は彼らに言った。「私たちが直面している困難は見てのとおりだ。エルサレムは廃墟となり、その門は火で焼き払われたままだ。さあ、エルサレムの城壁を築き直し、もうこれ以上、屈辱を受けないようにしよう。」
2:18 そして、私に恵みを下さった私の神の御手のことと、また王が言ったことばを彼らに告げた。すると彼らは「さあ、再建に取りかかろう」と言って、この良い仕事に着手した。

エズラ記に続く各巻緒論に戻る。エズラ記、ネヘミヤ記、エステル記はユダヤの民のバビロン捕囚が解かれても、なおペルシャ帝国の下での話である。異邦の地、異教の地で支配を受ける中での信仰の戦いが主題となる。

Ⅰ.基本的なことがら
著者:エズラ記とネヘミヤ記はエズラが記したと、両書を一つに数えていたユダヤ人の伝承にある。エズラ記はエズラがネヘミヤ記はネヘミヤが記したと考える(訂正)。
執筆年代:アルタクセルクセス1世(アルタシャスタ:ヘブル語標記)の第20年から話は始まる(前445年)。ネヘミヤは一度ペルシャに戻り、再度エルサレムに帰還しこの書を記した(前430年頃)。
大区分:1-2章エルサレムの窮状、ネヘミヤの帰還
3-13章城壁の工事と完成。律法朗読と告白。

Ⅱ.聖書箇所のメッセージ:ネヘミヤ記2:4~18
ネヘミヤは王宮で献酌官(1:11、口語訳:給仕役)であり、王からの絶対の信頼がないとなれない。ネヘミヤはエルサレムの荒廃を聞き(1:3)、大いに嘆き、祈りの中にあった。ネヘミヤの様子は王の心に止まる。ネヘミヤは祈りつつ王にエルサレム城壁の再建を願った。エズラの時代、キュロスの心を動かされた神様はアルタクセルクセスの心を動かされる。ネヘミヤは通行許可を得、再建資材も確保した。ネヘミヤはユダの総督に任命された(5:14)。この時代に、エズラは学者、ネヘミヤは総督、エステルは王妃とそれぞれである。困難に立ち向かいながら神様に寄り頼み、自分の危険を顧みずに、神様に懸けていく勇気を見る。時代の狭間に立って行くことの責任感がある。神様はそこに働かれ、神様の大きな御業を表されていった。ネヘミヤは大胆であり、周到である。夜間の視察も、敵対者に感づかれないように注意を払っている。満を持して「さあ再建にとりかかろう」(18節)の言葉に皆が立ち上がる。

Ⅲ.全体のメッセージ:
ユダヤの民は懸命に働いて工事を進めていった。しかし、敵対者たちから大きな反感を買い、彼らの侮辱を受けた。彼らは工事を止めさせる陰謀を企て、武力で止めさせようとした。ユダヤの民は、昼夜見張りを立て、片手に武器を、片手で工事をした。同族の間で生活の苦労も起こってきたが、ネヘミヤは公平な、無私の取り扱いをして人々の心をつなぎ止めた。正面からは叶わないと見た敵対者は、一見穏やかな言葉を使ったり、脅しをかけたりした。様々な妨害を受けつつ、城壁はわずか52日間で完成した(6:15)。この大きな神様の恵みの時に民は集まり、エズラは律法を朗読した(8:1)。民の内に感謝と悔い改めが起った。信仰の復興は、悲しみ、痛みを越えて神様を喜ぶことに向けられていった(8:10)。ネヘミヤはユダヤの総督として12年間務め、一旦ペルシャに帰り、エルサレムに戻ってきた(13:6~7)。この間、ユダヤの民は神様の前に悪いことを行っていた。ネヘミヤはもう一度神様に引き戻す働きをした。

私たちを取り巻く悪の力は大きく。私たちを脅かす。私たちは常に神様に立ち帰り、御言によって歩みを確かにする者である。