聖書各巻緒論28・預言書6

聖書:ホセア14:4~9

14:4 「わたしは彼らの背信を癒やし、喜びをもって彼らを愛する。わたしの怒りが彼らから離れ去ったからだ。
14:5 わたしはイスラエルにとって露のようになる。彼はゆりのように花咲き、レバノン杉のように根を張る。
14:6 その若枝は伸び、その輝きはオリーブの木のように、その香りはレバノン杉のようになる。
14:7 その陰に住むものたちは、穀物のように生き返り、ぶどうの木のように芽をふく。その名声はレバノンのぶどう酒のようになる。
14:8 エフライムよ。わたしと偶像との間に、どういう関わりがあるか。わたしが応え、わたしが世話をする。わたしは緑のもみの木のようだ。わたしから、あなたは実を得るのだ。」
14:9 知恵ある者はだれか。その人はこれらのことを悟れ。悟りのある者はだれか。その人はそれらのことをよく知れ。主の道は平らだ。正しい者はこれを歩み、背く者はこれにつまずく。

聖書の各巻に戻り、小預言書12巻の最初のホセア書になる。大預言書はイザヤ書からダニエル書になる。大小と呼ばれるのは内容云々ではなく、文章の分量による。12人の預言者によって語られた神様のメッセージを受け止めていきたい。

Ⅰ.ホセアの時代
ホセア(主は救いたもうの意)の出身についてはよく分らない。ホセアは北王国イスラエル・ヤロブアム2世(初代ヤロブアムと区別して)、南王国ユダのウジヤ、ヨタム、アハズ、ヒゼキヤ王の時代に、北王国で神様に仕えた。この時代、南王国ではイザヤが活動していた。ヤロブアム2世の時代は、アッシリアは内政が不安定でパレスチナに手を伸ばさなかったので北王国は繁栄した。しかし、宗教的、道徳的に腐敗し切った時代で、先代に当たる預言者アモスも痛烈に批判している。ヤロブアム2世以降、王は短い期間で入れ替わり、対外政策も右往左往し、最終的に紀元前722年の首都サマリア陥落に至る。

Ⅱ.ホセアの使命
預言者は仕えた時代も託された使信も違いがあり、また神様は各人の特徴、賜物を用いられた。神様はホセアの家庭生活を通して語られている(1~3章)。それは私たちが求めるような家庭とは正反対の痛ましい状況が語られている。ホセアは不品行な女性を妻にめとれと神様に命じられゴメルを妻とする(1:3)。長男のイズレエルの名は列王記第二9・10章にあるアハブの家を滅ぼしたエフーの一族が、同じく滅ぼされることを示している(1:4)。長女の名はロ・ルハマ(1:6)、あわれみを受けないという意味であり、次男の名はロ・アンミ(1:9)、私の民ではないという意味である。神様が何故ホセアにこのような取り扱いをされたのか理解に苦しむ。しかし、2:23には「あわれまれない者をあわれむ」「わたしの民ではない者に『あなたはわたしの民』と言い、」とあり立場は逆転される。3章はホセアから離れ身を持ち崩したゴメルを、ホセアが愛をもってあがない出し、連れ帰ることが記されている。これは北王国イスラエルの神様への背信が、滅びに向かう深いものであっても、神様は愛をもって回復されることをホセアの家庭を通して表している。

Ⅲ.ホセアの特長
神様のホセアへの要求は非常に厳しいものであったが、ホセアは神様に従っている。ホセアの従順は神様への信仰に裏付けられたものであるが、大きな痛みの中で、どれ程の寛容、忍耐、待望が必要であっただろうかと思う。神様はホセアの家庭を回復し、全イスラエルにもまた回復の約束を示された。今朝の聖書箇所は回復の姿であり、重苦しい話が続くホセア書で救いを感じる。神様の癒しと愛が、美しいゆりの花、立派に伸びたレバノン杉、実り豊かなオリーブ、人を養う穀物、喜びを与えるぶどうに例えられている。この神様の平らかなる道に歩み、祝福を受けよと勧められている。

神様は、ホセアが忍耐する力を持ち、従い通すことができることを信じて、彼を導かれた。ここに示された愛と回復は、神様がイエス様によって果たされた救いと和解を示す(ローマ5:1~11)。